インデックスに戻る



Directed and Produced by
純谷吉松(Itoya Kichimatsu)


■2000年7月のニュース一覧
▼[2000.07.31]ものをつくるということ
▼[2000.07.30]君の指先の魔法
▼[2000.07.28]思想という名の判例
▼[2000.07.27]この世に天使などいない
▼[2000.07.26]暗面なき世界へ,ようこそ
▼[2000.07.25]偏在
▼[2000.07.24]彼の怒りとカードの進展
▼[2000.07.23]どこから見てもキューブ
▼[2000.07.21]トップにいても,死しか見えない
▼[2000.07.20]キューブな恋
▼[2000.07.19]天界のイクス
▼[2000.07.18]キューブ・キューブ・キューブ!
▼[2000.07.17]破壊から生まれるもの
▼[2000.07.15]模倣による困惑
▼[2000.07.14]噂がなくっちゃ,生きていけない
▼[2000.07.12]存在自体法則
▼[2000.07.11]救われないセキュリティ
▼[2000.07.10]モンスターを掌に
▼[2000.07.09]価値無き者たちの傲岸
▼[2000.07.08]大迷惑
▼[2000.07.07]置き去りになる人間の後ろ姿
▼[2000.07.05]刃の煌めき,慟哭の夢魔
▼[2000.07.04]追いかける人間と,突き放す認証
▼[2000.07.03]はか〜の道は一日にしてならず
▼[2000.07.01]破壊と,建設

■2000年8月のニュース一覧
■2000年6月のニュース一覧

 
[2000.07.31]
  ものをつくるということ


 ▼Putting ‘A Brain in a Beaker’(MSNBC)【英語】
  http://www.msnbc.com/news/436446.asp?cp1=1


 自分が愛せないものを作っても,意味はない。誰も幸せにはならない。自分が100%愛せるもの,だからこそ,つくる意味がある。

 マックワールドエキスポ直前のスティーブ・ジョブズへのインタビュー。「他社の経営トップはパソコンを愛していない。マイクロソフトのバルマーも,インテルのバレットも,デルコンピュータのデルも。彼らはパソコン業界にいなくても,別のものを売って成功しているだろう」「G4キューブが私にとって特別なのは,ビーカーに入った脳に似ているからだ」「私たちはなにか成功するたびに,次はなにをしょうかと考える。常に新しい挑戦をしている」。 

 上記インタビューはNewsweek Japan Onlineで8月2日から掲載されるらしい。もうひとつ。7月31日号のBusinessWeek誌もアップルの特集を組み,PDAタイプのインターネット端末を開発中で来年発売するということとともに,ジョブズのインタビューを掲載している(BusinessWeek onlineの記事)。「iMacカラーで成功したというのは全体を見ていない。キューブのエンジニアリングとデザインをできる企業はアップル以外にない」「アップルは今後もビジネス市場は見ていない」。

 「脳の入ったビーカー」というのは,SFチックでステキだ。タッチパネル式のボタンも含め,SFの描くような「未来」を感じさせてくれる外観を持ったパソコンは,キューブ意外にない。ジョブズが最高に愛しているキューブ。彼が云うように,自分が作ったものをこれほど愛している人は,他のPCメーカーにはいない気がする。それは,彼こそがものをつくることの意味,を把握しているから,なのだろうか。



 
[2000.07.30]
  君の指先の魔法


 ▼新ユーザーインターフェース技術"Smart fabric"(pierre design news)
  http://www.geocities.com/SiliconValley/Grid/1257/0007/000727_smartfabric.html


 指先で,五芒星を描く。光があふれ,気が群がる。すべての魔法は指先から発せられる。

 タブレットでもマウスでもないインターフェイス技術「スマートファブリック」を利用した「MTCエクスプレス」という機器がタクテックス社から495ドルで発売されている。これは,指の圧力を検知し,1本の指でなぞったときと,2本の指でなぞったときでは違う動作になる。動作がどのような意味を持つかは,アプリケーションに任されている。

 沖データが,超音波によってペンの位置を認識し,空中で動作させることで入力を行なうペン型装置を開発したというニュースもあった(Impress PC Watchの記事)。ゆっくり,静かに,マウスとキーボードに変わる「なにか」は探されている。この,スマートファブリックは,キノテックスと呼ばれる接触センサーで作られている(MTCエクスプレスはこんな外観)。指先で押したり,なぞったり,滑らせたり,叩いたりという動作に,それぞれ意味を与え,アプリケーションを操作する。触った場所によって動作を変えることもできるので,左手で選択,右手で実行というようなこともできる。マックウィークの写真のように,楽器の一部に取り付け,指先で命令を与えることもできる。応用範囲は広く,基本的になんとな〜くそそられる。それをなんでか考えると…。

 なにより,ペンなどの別の装置を使わないのがいい。指先ですべて,まかなえる。指先だけで,絵も描けるし,音楽も奏でられる。もちろん,マウスとキーボードがすぐになくなることはないし,このMTCエクスプレスも,使いこなすのは難しそうなので大きく普及することはないだろう。でも,指先で描いたものが目の前で動作となって表れるのは,ちょっと楽しそう。まるで魔法を呼び出す,所作のように。触ってみたいっす(指先を動かすときに発する言葉が必要ですね(^_^ゞ)。



 
[2000.07.28]
  思想という名の判例


 ▼連邦地裁,Napsterに停止命令――著作権付き楽曲の掲載は一切不可(ZDNet News)
  http://www.zdnet.co.jp/news/0007/27/napster.html


 MS裁判も結果的には意味がないのは,みんなが知っている。だが,それ以上にナップスターへの判決も意味はない。ナップスターを殺すことは簡単だ。だが,私たちに染みついた思想を取り除くのは不可能だ。音楽業界も,裁判所も,できない。

 米国連邦地裁は26日,オンライン音楽交換サービスのナップスター社に対し,同社サイトへの著作権付き楽曲の掲載を一切禁ずる,という仮命令を下した。ナップスターサービスは,事実上の崩壊に追い込まれる可能性も出てきた。パテール判事は審問中,ナップスター弁護団に対して明らかないらだちの様子を見せ,多くの疑問を投げかけた。

 パテール判事は,MS裁判のジャクソン判事以上に非常に偏った,裁判を演出した。ナップスターの持っていた悪意を社内計画書で確認することで,ナップスターが悪者であることを徹底的に決めつけた。その悪意に潜んでいる思想には,見向きもしなかった(ナップスターがそれを正面から取り上げなかったことも問題ではあったが)。記事後半部分の記述(この問題に対する理解のなさ,思想のなさ)は,パテール判事の立場を明確にしている。パテール判事がそこにいたことで,判決は最初から決まっていたことなのだ。ナップスターは明日,今後の対応を公表するが,明日の夜24時に,サーバーの停止期限は迫っている。ナップスターのキレる男たち,創始者ショーン・ファニング,主任弁護士のデビッド・ボイズの,次なる手は如何に。

 もし,ナップスターのサーバーが止まっても,ナップスターの植え付けた思想は死なない。グヌーテラのような中央サーバーを必要としないピアトゥピアのファイル交換アプリケーションが,(判決への反発に似た悪意も持って)登場し,使われるだけだ。結局,裁判結果などなんの意味もなさない。マイクロソフトを殺すことは可能だとしても,ナップスターは死なない。ナップスターの思想こそが,この地の判例なんだ。



 
[2000.07.27]
  この世に天使などいない


 ▼Napsterは「悪魔」とTime Warner社長――だが業界に警告も(ZDNet News)
  http://www.zdnet.co.jp/news/0007/25/parsons.html


 この世に天使などいない。天使は,天使を求める気持ちの中にしかいない。そして,そんな天使に,普遍性はない。

 タイムワーナー社のリチャード・パーソンズ社長は,オンライン音楽についてのフォーラムで基調講演を行ない,音楽ファイル共有ソフトのナップスター社を「悪魔」と評した。だが同氏は,ナップスターによる革命は巨大な潜在市場を知らしめ,自己満足な音楽業界に変化を迫っていることを明言した。

 ナップスターに対する最初の司法判定は,今日にも下されるかもしれない。だが,すでにそんな判決など意味ないのだ(過去記事)。ナップスターのサーバーを止めようとも,大きなうねりを持った激流が,堤を壊してしまっている。裁判戦法ともとられているリキッドオーディオとの開発研究提携や,スプートニック7とのマーケティング協定は,ナップスター社の明確な道筋だ。ナップスターこそが唯一,未来の音楽マーケティングを実践している,に過ぎない。

 悪魔と評されたナップスター。だが,この世界に天使などいない。いるのは,悪魔以上に,身を堕とし,身を肥やした音楽業界だけだ。さて,天使面をした明日を作れぬものと,悪魔呼ばわりされた明日を作り出すもの。私たちが歩むべき道も,明確にすべきだ。



 
[2000.07.26]
  暗面なき世界へ,ようこそ


 ▼情報機関の文書公開サイトに『サービス拒否攻撃』?(WIRED NEWS)
  http://www.hotwired.co.jp/news/news/culture/story/20000725201.html


 誰も光を求めようとまではしないが,暗やみにあるデータが,なにかを突き崩すこともあり得る。これは,リアルでは日本と米国の外交問題にまで発展しかねない。公安調査庁がFBIに渡している日本政府に関するレポートが,日米の政治状況を作っているとも云われている。一国の(諜報活動も行なう)情報機関が,がたがたと崩されようとしているのだ。だがそんなデータも,ワイヤードでは,陽の下にあるただの120kのHTMLファイルでしかない。

 cryptome.orgというサイトが,立て続けに公安調査庁関連の文書の公開をしている。日本の法務省からの依頼でFBIが削除要請をしたが(WIRED NEWSの記事),それを拒否,掲載を続けていたが,サービス拒否攻撃を受けて,アクセスしづらくなっている。公開文書の中には「世界で最も無能な情報機関」と名付けられた公安調査庁職員の名簿もある。これらの文書を公開したのは,元公安調査庁職員の野田敬生氏。

 どうも前にもおんなじようなことがあったなぁと思ったら,昨年11月1日にまんまありました(^_^;)(過去記事)(<取り上げといて忘れるなよ)。8割方,前回の名簿(コピー)と同様だが,今回の名簿(コピー)は,読売,日経などの一般紙までもがその存在を取り上げてきたことで,様相が変わってきた。前回の名簿流出の冒頭にも,野田の名前が出ている。前回は,野田本人ではなく,その周辺からのものだったことがわかる。

 リアルの暗面が,ワイヤードの暗面とはならない。ワイヤードとは暗面なき世界,なのだ。それを求めるものがいるなら(そして探しだすスキルがあれば),どんな情報でも提供される。いわば,暗面なき世界。そこで,生きる術を学ぶことができる政府組織は,,,まっ,ないだろうな。相反するもの,でしかないのだから。



 
[2000.07.25]
  偏在


 ▼自分の名前をネット検索、「エゴ・サーフ」がブーム?(CNN.co.jp)
  http://www.cnn.co.jp/2000/TECH/07/17/egosurf.reut/index.html


 無限に拡張するこの世界。そして,その何処にでも偏在しえる自分。それは,自分の心の拡張と同じなのかもしれない。偏在することの意味,を自分の心に問う。

 検索エンジンで自分の名前を検索する自分探し「エゴ・サーフ」がブームとなっている。自分はこんなに認められているとナルシシズムに走ったり,逆に自分の情報を発見できず落ち込むサーファーもいる。

 自分というものは,ある意味では,他者が見ている自分の集合体でしかない。あなたが思っている「あなた」は,あなたの殻の中以外にはどこにもなく,そんなものはこの世に存在していないのと同義だ。偏在している自分こそ「自分」。という考えもある,リアルでは,たしかにそれも一理ある。だから,エゴは,リアルの自分を探し求める。

 だが,ワイヤードという空間の中で考えると,(ちょっとだけ妙な言い方をするが)ワイヤードとは基礎的に自分の心の中にあると云っていい。自分の心が,拡張して存在する空間。此処は,あなたの空間だ(リアルは,あなたのものぢゃない)。個々人の空間の拡張が,ひとつの空間を形作っている。ワイヤードに私がいないということは,あなたの心の中にあなたがいないということ。だって,ここはあなたのなかのあなたが,自由に行動できる場所なのだから。ワイヤードでの自分探しはエゴのためではなく,自分の心と向き合うための作業だ。



 
[2000.07.24]
  彼の怒りとカードの進展


 ▼ATI Scuttlebut Scuttles Radeon!(inside mac games)【英語】
  http://www.imgmagazine.com/news/story.php?ArticleID=370


 マックワールドねたもこれで最後。で最後に取り上げる製品はというと,…はたから見ると製品よりも面白い,ちょっとした事件。

 ATIテクノロジーズはマックワールドエキスポ直前に発したプレスリリースで,新しいiMacとパワーマックの新製品が発表されると報じてしまった。アップル社のスティーブ・ジョブズはこれに激怒,基調講演からATIに関するものをなくし,予定されていたATI幹部のスピーチや新しいグラフィックチップ「ライド・オン」のデモもすべてキャンセルした。

 ATIのリリースはプレスリリース配給サービスのビジネスワイヤーから発行された。そのリリースを取り上げたものは,CNET Japanの記事にもなっていた。ぉぃぉぃ,こんなの出ちゃっていいのかよと思っていたら,やはりいろいろあったようで…。ATIとしてはもう素っとぼけるしかないという感じだが,できる限り自分の地位を確保しておきたいと思った行動だったか? マックのグラフィックカード市場は今まで性能面でちょっと劣るATIの独壇場だったが,3dfxのブードゥー,フォーマックエレクトロニックのプロフォーマンス,そしてヌビディアのゲフォースが参戦と,風雲急を告げてきた(MacWIRE ONLINEの記事)。ATIは先手を打って期待の新カード「ライド・オン」を発表。新しいマルチプロセッサG4のOEMオプションとなることを伝える術を探していたのだろうが…。

 キューブなどはその形状で利用できるグラフィックカードは限られる。デフォルトではATIの16MBラージ128プロ。だってあの小ささ(8インチ)ぢゃあそれ専用につくるしかない。ブードゥー5は13インチもあるし。まぁ,なんにしても_彼_の怒っている姿が目に浮かぶようで,ATIには気の毒な気もしますな。OEMを全部取り消されるなんてことがなくてよかったかもしれないけど,他のカードメーカーが力を入れている現状では,次はないかも,ねぇ(^_^;)。



 
[2000.07.23]
  どこから見てもキューブ


 ▼Analysis:ターゲットは誰か(MacWIRE ONLINE)
  http://www.zdnet.co.jp/macwire/0007/20/n_analysis.html


 キューブはキューブなだけに,裏から見ても,下から見ても,キュ〜ブ(今日の話はまか〜限定)。

 アップル社が発表した「パワーマックG4 キューブ」には疑念が浮かぶ。ターゲットがはっきりしない。価格は安くはなく,拡張性はない。周辺機器を置くと,マシンは見えなくなる。アップルは,以前にも市場からかけ離れた製品を出している。20周年記念マックだ。

 いろいろとウェブを見てまわっていると,おおむね,キューブ(過去記事)はいい評価を受けている。iMacほどに手厳しい意見に出くわさない。みんなジョブズの作るものに慣れてきたのか(^_^;)。すでに「買い」という人も多い。だが,製品ラインが微妙に増えていくことは,アップルの低迷時代を思い返させるし,私としても,キューブを買うなら,もうちょっとの出費が必要でも,マルチプロセッサG4を買う(ぉっ。でもネ…。

 売り出されたときは100万円だった20周年記念マック(la*nが使ってた,あれ)も,たまに中古屋で20万弱くらいで見かける(^_^ゞ。でもそんなことは関係ないのだ。問題は手の平にキューブがあるか,ないか,でしかない。世間の評価や,トータルスペックなんて,どうでもいい。ネクストキューブ(WIRED NEWSの記事)と全然違うのは,その点だ。「Honey, I shrunk the supercomputer」という洒落たコピーとともに(iMacWIRE ONLINEの記事),裏から見ようとしても,下から見ようとしても,それはキューブの魅力にしかならない,んだったら。



 
[2000.07.21]
  トップにいても,死しか見えない


 ▼オンラインニュース大手の米CNETが米ZDNetを買収(Impress INTERNET Watch)
  http://www.watch.impress.co.jp/internet/www/article/2000/0719/cnetzd.htm


 トップ2がひとつになるには,理由がある。より攻撃的な側面もあれば,逆に暗面ものぞかせている。1分野でトップに立ったって,このネット世界では,生きていけない,のか?

 CNETネットワークス社は19日,ライバルであるオンラインニュース大手のZD社を買収することで合意したと発表した。買収額は16億ドル。これによりユーザー数ベースでもヤフーのような一般ポータルに近づく。ZD社の大株主であるソフトバンク社の孫正義氏は,合併支持を表明している。

 驚いた。いつもお世話になっているIT系ニュースサイトのナンバー1とナンバー2の合併は,ネット業界全体を揺るがす大ニュースだ。ZDには,当然のようにZDNet Newsが含まれており,CNETのNEWS.COMとのニュースサイトライバル関係もこれで終焉か。日本ではZDNet Jが本家の大株主でもあるソフバンが運営,CNET JapanNTTPCコミュニケーションズが運営している。米国での激変は,日本にどのような動きをもたらすのか,未だ見えない。

 ライバル関係には良きものも悪しきものもある。ZDとCNETはお互いにがんがんと機能を拡張しながら,成長してきた(その結果,非常に似たサイトになってしまってはいたが)。それが,なくなるというのは,一抹の不安と寂しさがある。しょせん,狭いカテゴリーの情報の配信だけでは,ヤフーブランドにはかなわないという,暗面も見せられた気分もする。この広大な地では,1分野でのトップなど,たいしたことないのだ。さて,もろ手を挙げて賛成したというソフバンの意向もよくわからんな。経営面で苦しいとはいえ,自分とこでもZDのブランドを大きくしといて,育てる途中でくら替えですか? どないなっとんねん。



 
[2000.07.20]
  キューブな恋


 ▼Apple,新しいラインのマシン「Cube」とディスプレイ2種発表(MacWIRE ONLINE)
  http://www.zdnet.co.jp/macwire/0007/19/n_nyexso.html


 僕らはいつも,図形の恋に憧れる。あなたの心に組み込まれる,ジグソーパズルのように。恋は立体的,ジオメトリックなダンスで,あなたの虜。

 マックワールドエキスポの基調講演でスティーブ・ジョブズは新しいマッキントッシュ「キューブ」を発表した。現行のG4の1/4の大きさでファンがなく,上部にはハンドルがついている。

 では,基調講演「キューブ」の巻。4つの製品ライン,iMacも新しくなった4つの製品ライン(ph1),そこにもうひとつ加えようと思う(場内待ってましたの歓声)(ph2),iMacのエレガントさとG4のパワフルさを合わせ持ったもの(ph3),それはG4のわずか1/4の大きさで(ph4),8インチの立方体(ph5),ファンもない(ph6),その名もG4 Cube(ph7),登場(ph8),DVDはこっから入れる(場内爆笑)(ph9),こんなに小さい(ph10),逆さにしてボタンを押すと取っ手が出る(ph11),その取っ手を引き上げると中身がまんま取り出せる(ph12),新しいスピーカーとキーボードとマウスでとってもクール(ph13),早ければ8月に登場(ph14)。ということで,あんだけ噂で見ていながら,出てくるとやはりそそるものがあるキューブでした(^_^)。

 不満がないわけではない。G4とはいえ,450MHzと500MHzというのはあまりにも進化が感じられない。遅い進化の中でミッドレンジを作るのはあまり効果がない。噂が出過ぎたのも失敗だった(前日に完全にリークされた画像がAppleInsiderに流れた)。でも,この世界の半分は見た目で決まる(^_^;)。キューブな恋に,夢中になろう。



 
[2000.07.19]
  天界のイクス


 ▼Mac OS Xで稼働するX Windows Serverの開発をアナウンス(MacWIRE ONLINE)
  http://www.zdnet.co.jp/macwire/0007/18/n_md1.html


 僕(しもべ)なるかな治下のリンゾ,カヌカの御空の下,天界のイクスの降り立ち給う。想像の十念が,その照る林下に野火を放ちて。

 テノンインターシステムズ社は,マックOS X上で利用できるユニックスシステムのXウインドウ「X for Mac OS X」の開発をアナウンスした。マックOS Xで稼働し,マックOS Xのアクアインターフェイスを利用した実行環境となる。

 ちなみに「えっくすふぉおまっくおぉえすてん」と読むのだそうです。困ったものです(^_^ゞ。テンなのかエックスなのか見分けをつけて欲しいものです(そういえばカイとも読みますね)。に,しても,Xウインドウにアクア風味を加えて,OS Xで動かそうなんて考えるだけで素晴らしいではないですか。もともと,マックOS Xはユニックスシステムの上で動いているようなものだが,徹底的にユニックス部分にフタをする作業が続けられている。

 マックハック会議でコマンド実行が行なえるような話もあったが(過去記事),直接的にその地下にあるユニックスシステムを利用するXウインドウが動作するのは,期待と嘱望に値する。ユニックスアプリケーションの移植がたやすくなっているだけにとどまらないのだ。ユニックスシステムにかぶせた斬新すこぶるアクアインターフェイスの上,「X for Mac OS X」が動作する,それは,どこか革新の匂いがするOS体験かもしれない。



 
[2000.07.18]
  キューブ・キューブ・キューブ!


 ▼MacWIRE版定番サイト定点観測 (ユーザー・噂系)(MacWIRE ONLINE)
  http://www.zdnet.co.jp/macwire/0007/17/q_users.html


 キューブ・キューブ・キューブ! いたるところで根も葉もない噂が飛び交う。だが,噂を楽しむ余裕は,人生を楽しめる証拠だ。MSにも,インテルにも,そんな余裕はないからね。

 Mac Observerは14日,アップルが発表すると噂されているキューブの予想図を掲載した。通常Mac Observerはこのような噂記事は掲載しないが,この画像は真に迫っていると掲載した。AppleInsiderも,予想図を掲載。価格は999ドルから1,499ドル。

 どうやら,興奮度の高さは本物だったようだ(過去記事)。Mac Observerの現行G4マシンをフォトショップで潰したようなカタチはどうかという気もするが(^_^ゞ,私としてはこのキューブの形状は完全にローエンド向け。予想図はいずれもグラファイトだが,5色以上(?)のカラーリングを施してもいい気もするが…。

 ちょっとうがった見方をすると,ZDNet Newsが取り上げているほど,今回は噂が先行しすぎている(ZDNet Newsの記事)。過去にもiMac DVの画像が流出し,慌てて差し止めたことがあったが,今回のこのらんちき騒ぎはちょっと異常とも言える。ジョブズは,頭を抱えているか,はたまたほくそ笑んでいるか。当然後者のような気がするんですな(^_^;)。噂を楽しめる余裕は,人生を楽しむこと。さあ,あと,2日。



 
[2000.07.17]
  破壊から生まれるもの


 ▼Napster問題とミュージシャンの誤解(ZDNet News)
  http://www.zdnet.co.jp/news/0007/14/cooper.html


 あと10日の後(7月26日)に口頭弁論が行われ,その後1ヶ月以内にRIAAの求める仮処分申請の是非が言い渡される。だがこれは,政治や司法の問題ではなく,最終的には,ネットワーク上にいる,あなた,の問題だ。

 11日,上院司法委員会でナップスター問題の公聴会が開かれた。特に面白い見せ物ではなかったが,人気ロックバンド・メタリカのドラム奏者は,自分のことにばかり無我夢中の愚か者という印象しか残せなかった。彼らの主張は詭弁と言うべきだ。さらに言うなら,この説を買うのは政治家くらいのものだろう。

 MP3の撃攘は,ワシントンにも上陸した(ZDNet Newsの記事)。これは,音楽(デジタル,アナログ含めて)に対する大きな転換期とならなくてはいけない。いや,すでになっているのか。アンダーグラウンドや興味本位のカタワものたちではなく,すでに「一般」のレベルで,ナップスターは使われているのだ(ZDNet Newsの記事)。あしたナップスターのサーバーがストップしようとも,人々が求めているものと,現実とのギャップは,消えてなくなることはない。

 自分の利益のことしか考えぬ愚かな音楽業界と,ミュージシャンのような顔をしているそれに飼われた犬たち。今こそ,一度,_すべて_を破壊したほうがいい。何もなくなったところから始めても,今よりも自由で,本当の,音楽を楽しむ環境が生み出されるだろう。本当の音楽のあるべき姿のために,ネットワークは徹底的に,_リアル_を破壊してもよいのではないだろうか?



 
[2000.07.15]
  模倣による困惑


 ▼ロボット犬『Aibo』にバッファー・オーバーフロー攻撃?(CNET Japan)
  http://japan.cnet.com/News/2000/Item/000714-1.html


 出来のいい模倣は本物にも勝る。本物のハッキングの情報よりも,模倣によるハッキングの情報の方が,強い混乱を起こすときが来る。でよくよく考えると,それは模倣なだけに,笑えるんだな。

 「コンピューター緊急事態対応チーム(CERT)」によって発行される警告のパロディーがML「バグトラック」に掲示された。内容は,ソニー社の犬型ロボット「AIBO」にオーバーバッファーフローを起こさることができ,小さな子供やペットを攻撃した例が報告された,というもの。

 私も,JPCERTからの警告メールは無条件に信じるだろうけど,AIBOハックの話がほんとに来たら笑える(^_^)。夜中に子供を襲うとなると,こりゃ大事件。笑える(^_^)。CERT/JPCERTからの警告メールには電子鍵がついているとはいえ,ちょっと見は目立たないしねぇ。また,独特な(私にはさっぱり理解できない)言葉の羅列や,言葉の使い回し,言葉じりは特徴があり(日本語ではこんなの),パスティーシュ(模倣)の対象としては,とっても面白い。

 だがしかし,携帯電話,PDAをはじめ,ペットロボットにも,なんらかのハッキングの手段は今後,生まれてくる。AIBOなんかはパソコンと密接に結びついているから,その可能性は大きい。そんな可能性が,模倣を現実以上に膨らませる。膨らんだ模倣が,現実は押しつぶす。困惑に似た絶望,困惑に似た喪意。世界を包み込んでいく,模倣。



 
[2000.07.14]
  噂がなくっちゃ,生きていけない


 ▼MACWORLD Expo/NY 2000の基調講演に関する詳細が決定(MacWIRE ONLINE)
  http://www.zdnet.co.jp/macwire/0007/11/n_stevejobs.html


 今年は日本では願ったりかなったりの祝日前(^_^)。時刻もよい頃で,さてさて,どんな噂が現実となるか,ならないか。毎度毎度のことながら,噂がなくっちゃ,生きていけない。

 アップル社はニューヨークで開催されるマックワールドエキスポで,CEOスティーブ・ジョブズの基調講演を19日午前9時(日本時間19日午後10時)から行うと発表した。昨年の同じ舞台では長らく待たれていたiBookが初披露された。この基調講演はクイックタイムによるライブストリーミング配信が行われる。

 いつものことながらジョブズの基調講演前のこの喧騒。なんとなくだが,今回はいつもよりちょっとだけ興奮度が高い気がする。大きな噂を見繕ってみると…。まずは,新しいマウス。ZDNetAppleinsiderの想像図を見ても,さっぱりどうやってクリックするのかわからない。もう30年以上,大きな形状の変化がなかったマウスに,果たしてアップルはどのような回答を持ち寄るのか。他のPCメーカー,そしてMSなどにはできぬ変革が,そこにあるのか?

 もうひとつ火薬庫がiMacの後継機。MacNNがiMac 350MHz生産終了を伝え(MacFan netの記事),日本では,一部の大学生協が650/600/550MHzの次期iMacをアナウンスしたとMACお宝鑑定団さんが情報を伝えた(後に情報ミスであったと報じられたが,フライングの可能性,あり?)。そして,いちばんの物議はMacOS Rumorsに掲載され,アップルからの要請によって削除されたという「キューブ」と呼ばれるマシン。削除された内容は,モニターレスの,幅36センチの立方体で,やはりトランスルーセント。ファンはなく,ポート類はほとんど外から見えない。PCIスロットがなく,別にボックス状のPCIスロットを提供するというものだった(今日は今日とてパイナップル色のiMacの噂も(^_^)(MacWIRE ONLINEの記事))。噂だけでおなかいっぱいになりそうな今回だが,あんまり噂が大きくなるとあっさり発表を控えてしまうのもジョブズの得意技なだけに,さてさて,後1週間,最後の想像力を働かせて,その時を待ちたい。



 
[2000.07.12]
  存在自体法則


 ▼インターネットの大きさは21億ページ―2001年にはさらに倍の大きさに(Impress INTERNET Watch)
  http://www.watch.impress.co.jp/internet/www/article/2000/0711/sti.htm


 その存在自体が,法則なのだ。比較すべきものなどなにもない。ましてや,リアルの代替手段であったり,下位階層であるはずも,ない。

 サイベランス社が10日発表した「インターネットの大きさ」という題のレポートによると,現在インターネット上には21億ページが存在し,1日700万ページの割合で増殖している。このまま行くと,2001年初頭には現在の倍の大きさになると予想している。今年1月にはインクトミ社からインターネットの大きさは10億ページとい調査結果が出ていた。

 21億ページというのがあまりにも実感がない数字になっているが,これは誰もが利用可能なページだけをあげており,その他にもクローズドなサイトも多いだろうから,正確な数は把握できない。だが,この会社の調査では,今年の初頭に10億ページだったのが,約半年で倍の21億ページとなり,また半年後には40億を超えるという。

   CPUの性能は18ヶ月で倍になっていくというムーアの法則もぶち壊すほどの急速な発展は,私たちをどこへと連れていくのか。生き急いでもとどまる命無き魔物。半年ごとに自らのデータ量を倍にしていく生き物に,法則というものはあり得ない。あえて云えば,その存在自体が,法則なのか。1日700万ページを絶えず生み出しているという場所での,1日の価値は,1時間の価値は,1分の価値は,1秒の価値は…。リアルとなんて,比較できない。



 
[2000.07.11]
  救われないセキュリティ


 ▼『ブルートゥース』で迷惑な携帯着信音をストップ(WIRED NEWS)
  http://www.hotwired.co.jp/news/news/technology/story/20000710301.html


 救われるセキュリティというのは,ない。セキュリティとは常に救われないものだ。消えることがない穴を少しでも埋めようと,時間が必要とされる。かけた時間に応じて,穴は埋まっていく(けど,永久に穴はなくならないけどネ)。

 ワイヤレスシステムのアプリケーションメーカーであるブルーリンクス社は,ワイヤレス接続技術標準であるブルートゥースを使い,携帯電話の着信音を自動的に下げるシステムを開発中だ。各携帯電話機メーカーは,今後ブルートゥース規格を採用し,自動的に信号をやり取りすることが可能になる。

 最初,おぉを,それはすごいと思ったが,ふと,なんでそんなことできるの? と思い直した。勝手にやり取りして音量が下げられるということは,アプリケーション次第で,他にも勝手に情報が送られてきたり,または情報が引き抜かれたりもできるということか? そんなものは普及しないだろう。結局,プッシュ技術がすたれたように,インターネットは,「こちらがアクセスしたときに」常に戻ってくることで成り立っている。勝手に送られてきたり,勝手に操作されたりというのは,親切なサービスであっても,迷惑でしかない。

 折しも,ワイヤレス技術のソフト面でのセキュリティの弱さが指摘されている(eWEEK Japanの記事)。妙にiモードが持ち上げられているのは,ワイヤレス用に一からセキュリティを作るより,現存のインターネットのセキュリティシステムを流用できるiモードに,アドバンテージがあるからだ。短い歴史といっても爆発的なネットの普及は,それなりにセキュリティを叩き上げてきた。ブルートゥースに,救いは,まだまだない。



 
[2000.07.10]
  モンスターを掌に


 ▼最新スパコンで蘇るメインフレーム時代の思い出(WIRED NEWS)
  http://www.hotwired.co.jp/news/news/Technology/story/20000706304.html


 「ぼくをみてぼくをみて,ぼくのなかのかいぶつがこんなにおおきくなったよ」ヽ(´ー`)ノ。そして,モンスターを掌に。

 IBM社の新しいスーパーコンピューターの巨大さは,1960年代のメインフレームコンピューターの時代を思い出させる。IBMのQ7は,6万本の真空管と空調で,サンタモニカの電力の10%を消費していた。12KHzのCPU1個と64KのRAMだけを積んでいたが。IBM1401は,IBM初の全トランジスター・マシン。ボイラー工場のような音を立てて稼働していた。

 核兵器の爆発実験にメインとして使われるASCIホワイトとは,1秒間に12兆回の演算をこなすというもの(過去記事)。部品が組み立てられるとバスケットボールのコート2面分になるという途方もないもの。最初の部品を運ぶのに28台のトレーラーが使われ,それでも部品の4分の1しか運んでないという。完成した暁には(?),小さな町に供給する電力を消費するという,まさにモンスターだ。

 今この時代に,バスケットボールコート2面分のコンピューターというのは,違和感のあるもの。量より質の時代に,思いっきり物量作戦っぽい並列コンピューター。それも並の数でない。しかし,記事にあるようなメインフレームコンピューターの能力が,今やサブノートパソコンの能力より格段に低いものを考えれば,近い将来,バスケットボール2面分の性能が,私たちの掌に収まるのは,確実なのだ。モンスターを掌に,招来,しましょ。



 
[2000.07.09]
  価値無き者たちの傲岸


 ▼AT&Tがウェブ匿名ツール、反検閲ツールを開発中(CNET Japan)
  http://cnet.sphere.ne.jp/News/2000/Item/000706-7.html


 街を歩いていれば,隣を歩いている人が,とんでもない大事件を画策していることもあるだろう。その計画を紙に書き殴っていることもあるだろう。だからといって,なにが彼を止められるか。国家や企業の,形骸の権力なら彼をブタ箱にぶち込むことはできる。でも,この地には,そんな力はいらない。

 AT&T社の研究者たちは,ユーザーが検閲の心配なしに,まったく匿名でオンラインにコンテンツを掲載できる技術に取り組んでいると発表した。このパブライアス・プロジェクトは,ファイルを分割と複製と暗号化によってサーバーに配信し,ユーザー自身でもファイルを削除できなくすることもできる。市民権保護団体は賛同しているが,著作権侵害や幼児ポルノなどの不正行為が懸念されている。

 記事中にもあるフリーネットは,GNUパブリックライセンスによるファイル共有ネットワーク(WIRED NEWSの記事)。他にも,世界一小さい独立国にサーバーを立て,どの国家からも介入できぬデータ・ヘイブンを作るというものもある(WIRED NEWSの記事)。折から,オーストラリア,フランスなどから,国家によるネット上のデータに対する検閲・規制が取りざたされている(過去記事)。フリーネットやデータ・ヘイブン,AT&Tの動きは,当然,それらへの危機感から端を発している。

 人々の記憶が検閲できないように,人々の感情が検閲できないように,人々の胸の中の思想が検閲できないように,私たちには決して他を許さぬ領域が必要だ。たとえその思想に凶悪なものが含まれていようとも,だ。そして完全な匿名の情報表示手段が調ったとき,リアルの国家の価値が失われる。まぁ,価値あるような国家だったら,別の動きが出てきそうなものだから,この流れを見ていればいいのだ。たぶん,すでに流れは決まっているだろうから。



 
[2000.07.08]
  大迷惑


 ▼小さな掲示板サービスに届く大銀行宛のメール(ZDNet News)
  http://www.zdnet.co.jp/news/0007/07/bankmail.html


 間違い,多いよねぇ。世界はでじこのものにょ!,とdigiko.comに行くと,digikoプロダクションってなに(^_^)? そうか,わかった,と今度はdegiko.comに行くと,ぴあきゃろっと? なんで? まったく大迷惑だよ(←勝手に行き着いているおまえが迷惑者にょ。

 4年前から運営されている小さな掲示板サービス「BBVA.com」(Bulletin Board of VA)には,昨秋にスペイン最大の銀行が合併して名前をBBVA銀行としてから,毎日何百通という間違いメールが届いている。中には,顧客の口座番号が書かれたものや,機密事項であろう企業間の買収話も。

 ある日,自分のドメインとおんなじ名前の巨大企業が生まれてしまったら,そのドメインのinfo@やwebmaster@を持っている人は,まぁエライ迷惑だろうな,というのを地で行っているのが今回の記事でした。アドレスを確認せずに,infoやwebmaster宛てにメールを出すのは,決して熟練者ではなく厨房でしょうから,逝ってよし,ですかね(^_^;)。まぁ,気持ちはわかりますが,やっぱり大迷惑。

 メールアドレスは,間違いやすい,というか,間違っても気にしない人が多い。相手のアドレスだけじゃなく,自分のアドレスも書き間違える人が多い。ウェブのフォームからメールをもらっても,書き込まれたアドレスが間違っていて,返信できないというのは,ウェブを作っている多くの人が体験があるだろう。で,返事をよこせと逆切れされてまた書き込まれ,そんときのアドレスもまた間違ってたり…(^_^;)。こっちはorをneに変えたり,つづりを変えたりしてなんとかしようと思ってるのに…,もぉぉ(ちょっといろんな迷惑者に困惑気味。



 
[2000.07.07]
  置き去りになる人間の後ろ姿


 ▼来たるべき新技術の時代に備えよう(WIRED NEWS)
  http://www.hotwired.co.jp/news/news/technology/story/20000706301.html


 進化を忘れた人間は,このまま朽ち果てるだけなのか。後ろ姿だけが,夕闇に沈んでいく。だが,彼に未知の能力を与えられる場所がある。ワイヤード。次の進化の,唯一の在り処は,ここに。

 毎年恒例の討論会「次の20年」会議に,今年も4人の未来学者が集まった。その議論。コンピューティングの時代はまだ石器時代だ。シリコンチップの限界を乗り越え,電子の限界が制限する時代となる。我々には,そんなパラダイムシフトの中で正気を保つ困難が待受けている。

 20年後を想像できるだろうか。「次の20年」会議では,その20年後の風景がいくつか出されたが(WIRED NEWSの記事),ど〜も,どれもこれもつまらない。型にはまった未来,しか提出されない。思いもしない,天地がひっくり返るほどの事象が出されず,「現在の延長」でしかない未来の話は,それほど面白くはない。未来や,いずこ?

 そんな決まり切った未来など,未来たる資格なし。今の1万倍も能力を持つパソコンに,私たちはなにを持ちえるのか? そこにある閉塞感は,記事にもあるように,進化の度合いを止めた人間という生物の無能さをさらけ出すだけなのだ。1日1分1秒ごとに進化するテクノロジーの中で,歩みをとめている人間。今後,少しずつ,現れてくる,新しい人間の病理の要因は,それだ。そして,その病理に対するワクチンがもしあるとしたら,それは,ワイヤードにしか,ない。



 
[2000.07.05]
  刃の煌めき,慟哭の夢魔


 ▼「シャトルにハッカー」とBBC NASAは否定(CNN.co.jp)
  http://www.cnn.co.jp/2000/TECH/07/03/NASA/index.html


 リアルがワイヤードに刃物を突きつける毎日が続いている。だが,ワイヤードがリアルの喉元を刃を突きつける日が,いつかくる。でもそれは復讐ではない。必然としての,歴史でしかない。

 BBCが3日に放映したドキュメンタリー番組によると,97年のスペースシャトル宇宙飛行時,NASAのコンピューターにハッカーが侵入。シャトルとの通信が途絶え,システムを変更して通信を行わなければならなかった。NASAはBBCの報道を否定,通信に問題はなかったとしている。

 ハッカーは,宇宙飛行士たちの医学的状態をモニターしているコンピューターに介入し,医療機関との通信が妨害を受けたという(WIRED NEWSの記事)。まぁホントかどうかはちょっと疑わしいが,生命の危機にも繋がる通信が,なんらかの攻撃を受け,その結果…というのは,この先,大いにあり,得る,話だ。

 例えば未来のデモクラシーや国家転覆計画などには,緊急通報装置ネットワークなどの分断が最優先の手段だ。要人のいる病院の医療機関のシステムに高負荷を与えたら…。政府組織や国連機関などの議論の場がネットワーク上に移ったとき,そこを一網打尽に撃滅させる攻撃が起きたら…。ワイヤードが,リアルの喉元に突きつける,すでに動脈色の刃。最後の一突きが,悲鳴もなく振り落とされる。



 
[2000.07.04]
  追いかける人間と,突き放す認証


 ▼君の笑顔がパスワード(WIRED NEWS)
  http://www.hotwired.co.jp/news/news/technology/story/20000703301.html


 私とあなたの違いはなに? 違いなんてあるの? いや,違いがなければ,私が生きている意味がない。違いがあるから私がいる意味がある。私を認めて,私の証をみせて。ということでの個人認証。

 今週のPCエキスポ2000ビーセージ社は,複数の電子商取引業者と提携して顔面認識システム「フェースネット」を使用してもらうと発表した。これは携帯電話やノートパソコンなどに内蔵したカメラを使い,顔面で個人識別する。現在,カジノがプロギャンブラーを識別するときなどに利用しており,近々,ATM機にも設置される。

 以前にも書いたが(過去記事),知識認証の限界を思い知るに連れて,人は個人認証の扉を開こうとしている。指紋だったり,音声だったり,はたまた顔面だったり…。結局機械の方の認識力が追いついていない。きっとフェースネットなるものも,いくらにっこりしても認証してくれない場面があることは,容易に想像できてしまう(^_^)。そういえば,私もマックOSの音声認証は最初遊んだだけでした(^_^;)。ちゃんと使えば,もちろん楽しさもあるんだけど,面倒くさくってね(ぉぃぉぃ。

 人間というのは同じ生き物なのに,明確に他者と自分を違うものと認識したがる生き物だ。個体差がとてもいっぱいあると思っている。そんな人間が4桁のパスワードで認証されるのを許せるわけがない。必死になって個人認証を追いかける姿は,そんな,人間の個体差を作りたい衝動と繋がっている。そんでも,世界に3人は同じ顔の人がいるんでしたっけ? 追いかける人間と,突き放す認証。さて,人間が認証を得られる日は,来るか,否や。



 
[2000.07.03]
  はか〜の道は一日にしてならず


 ▼『ドリームキャスト』の海賊版ゲームがオンラインに流出(CNET Japan)
  http://japan.cnet.com/News/2000/Item/000701-1.html


 いくつかの驚くべきニュースが,次のニュースに繋がっていく。ドリキャスへのハッキングにもいくつかの伏線があった。はかーの道は一日にしてならず,か(^_^)。

 「ユートピア(Utopia)」というグループが,MODチップなしでドリームキャストのゲームをCD-Rディスクにコピーできるツール「ドリームキャスト・ブートCD V1.1」をリリースした。セガでは,このツールが利用している抜け穴があることを認めており,すでに対策を施しているとのこと。

 このドリームキャスト・ブートCDは先月22日にリリースされ,かなり大きな話題を振りまいていた。裏ニュ〜スさんでも取り上げられていたので注目していたら,CNETが取り上げるわ,AP通信電で米国ヤフー米国アルタビスタABC NEWSも出すわとここに来て大騒ぎ。日本のソフトの動作状況はDC ISOSのページにまとめられている。セガのゲームはコピーできないものが多いようだが,8割方,できそうですな。で,問題なのがご承知の通り,ドリキャスが採用しているヤマハが開発した1GBのGD-ROM(ギガバイトディスク)なわけで(普通のCD-ROMは640MB),記事だとオーディオトラックを捨てるなどしているらしい。DC-ROMは,中央に35MB分の低密度のエリアがあり,外側に1GB分の高密度データを記録する。PCでは中央のエリアは読めるが,外側のゲームデータが入っている1GB部分は読めない。で,その中央と外側の境目としてセガの名前が記されたラインがある,という作り。

 このドリームキャスト・ブートCDには,いくつかの伏線があった。まず,英国デイテル社が出したドリキャス用プロアクションリプレイ(コードを入力してソフトの仕様を変更するソフト)「ACTION REPLAY」。これにより,ドリキャスのデータ部分をROMからのブートデータによって,意図的に変更することができることが公になっていた。で,もうひとつが,E3で大注目を浴びたブリーム社の「ブリームキャスト」だ(GAME SPOTの記事)。ブリームキャストは,ドリキャスにプレステCD-ROMのデータをブートするためのバックドアをまず仕込み,そして起動する,てな感じ。そしてUtopiaはそのバックドア部分を作成ディスクイメージに組み込みつつ,「ディスクジャグラー」などの強力な焼き込みソフトで作成する。ドリキャスは,排他的なディスクでコピーをガードしていたが,一般的なディスクによるガードをまったくしていなかった。まっ,今回はブート部分を完全にクラックしたハッカーさんをほめるべきでしょうな,いやはや。(参考:CDRinfo.com



 
[2000.07.01]
  破壊と,建設


 ▼IBMから世界最大のコンピューター(WIRED NEWS)
  http://www.hotwired.co.jp/news/news/technology/story/20000630301.html


 処理能力の高さで,破壊と建設の場をわけているのなら,ある日,それが逆転する日もくるだろう。破壊するに値する場所は,さて,どちら,か。

 IBM社が23日,世界最大のスーパーコンピューターを核研究施設に運び込んだ。そのスーパーコンピューター「ASCIホワイト」は,プロセッサーを8192個積んでおり,1秒間に12兆3000億回の演算をこなす。ASCIホワイトは,核爆発実験のシミュレートに使われる。

 記事を読んでいるだけで途方にくれてしまいそうなコンピューター。ディープ・ブルーの1000倍,これまでの最速マシン「ASCIブルー」の3倍。ちなみに現在のマックのG4チップは10億回/1秒,インテルが設計している64ビットチップのアイテニアムは60億回/1秒の処理を行う。はてはて,12兆回の演算とは,どんなものなのか,想像もつかない。原子の動きを明確にシミュレートし,爆発の模様を寸分の狂いなく画像化し,巨大スクリーンに映し出すという。

 現時点でこれ以上ないコンピューターが,世界の破滅のために使われるのは,妙な暗示なのか。なによりも計算を必要とすることとは,やはり,破壊であるのか。現在のパソコンのマルチメディア機能の素地が考えていた男は,核開発の先頭に立っていた男だった(過去記事)。リアルで健全に生き続けるために,アンリアルで破壊と破滅を求める人間。今よりもぐんと演算能力が進んだとき,それが逆になることも,あり得ない話ではない。我々が生きるに値する世界はどこか。破壊するに惜しくない世界は,どちら,か。




テレワークならECナビ Yahoo 楽天 LINEがデータ消費ゼロで月額500円〜!
無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 海外旅行保険が無料! 海外ホテル